友だち1000人いるようなヤツはアテにならない

その昔、営業をがむしゃらに頑張っていた頃の話。
私はとあるビジネス見本市にクリエイターとして出展し、そこで独立をはじめたという若い青年と出会った。

話によると彼は美大を卒業後、大手アニメ会社に勤務。そこから独立後はいろんな人からいろんな仕事が来るらしい。
しかし本人は会社時代は制作進行で、クリエイティブな作業の腕前はほどほどらしく、クリエイターによく声を掛けているとのこと。

そして「ビジネスパートナーを紹介します」とのことで、彼の誕生日パーティーにわざわざ二時間近くかけて行くことになった。
(誕生日パーティーなんて、クソセレブな催しには当時から全く興味なかったが、営業なので心をグッと飲み込む。)

大都会の一角、ライブハウスみたいな場所を貸し切った、やはりクソセレブな会の模様。
トイレに行くと、彼と同じ美大卒風の女性が二人、厚化粧を直しながら語り合っている。
「あのアニメ、面白いよね~」「うん!」

気の合う人はこの場所に一人もいなさそうだ。営業が済んだら、さっさと帰ればいい。

会場は、彼の美大がらみの友人、そのまた友人のフリーターや社会人、彼が世話になった大学の先生まで、男女混合150人くらい集まっていた。
そういえば、「携帯のアドレス帳に1000人登録してたんだけど、こないだ携帯こわしちゃって~」なんて、彼の呟きを聞いていた。

会がはじまり、宴の中盤頃、彼からビジネスパートナー(…って、自分で書いててお尻がかゆい)を紹介してもらい、会場を後にした。


その後、彼から相談の電話が時々来るようになった。
「ちょっとした案件があるんだけど、仕事しませんか?」

ちなみに私は、突然電話で仕事の相談をされるのが苦手。というか、マナー違反にも思う。

はじめはメールで挨拶から。丁寧に仕事内容を文面で説明し、相手にじっくり「吟味」してもらう時間を作ってあげるのが、デキる大人だと思う。
(実際、仕事の依頼を頂くときは、だいたいそんな感じ。いきなり電話し合ったりしない。)

しかし…彼は友だち1000人いるようなヤツなんで、一人一人に対してとにかくガサツなのだ。

案件の内容も、私の作風を度外視した「パチンコのビジュアルデザイン」とか、「携帯ゲームのなんちゃら(激安案件)」等、そんなものばかり。

私がどういう作風の人か考えないで、1000人の友だちリストのうちの”クリエイター”ジャンルの人へ、片っ端に電話してるイメージ。

それでも話を聞いて、作業量に見あった製作費で、出来そうなものならやろうという気持ちではいたけど、クリエイターにとって不利なものが多かったので、丁重に何度か断っていた。

しかしそのうち、超ガサツなメールが一文でペロっと送られてきた。


「仕事あるんだけど、電話かけてもらえますか?」


もうこれには、さすがに私も激怒。私から彼に連絡することは二度となかった。(メールと電話、着信拒否!)
私以外にも、こうしてクリエイターの人に接してるんだろうか?彼のバックボーンのない薄っぺらさに付き合う人は最初はいても、やがて見切って、大多数の人が離れていくであろう。


そんな彼に紹介されたビジネスパートナー(何度も書くが、お尻がかゆくなる言葉だ。)とも、当時何度かやりとりをしていた。

はじめにその人から声をかけてもらった仕事は、作業量に見あった製作費だったので、仕事をさせてもらった。
ガサツな彼の友人であっても、彼ほどガサツな印象はなかったので、特に問題はなかった。


が、しかし。

彼とはまた別の「ガサツ」が、ヒョイと顔をあらわす時が訪れたのだ…!!


ある企画にあなたの絵をプレゼンしたいので、「サンプルの絵を何枚か送ってほしい」と相談が来た。それは有難い話なので、私はお礼を込めてせっせと送った。

(その時点ではどんな企画か、いつから始まる仕事であるか等、詳細は一切知らされてなかった。)

そして数か月~半年後、その人の部下(若い女の子)から突然連絡が来た。
「企画が通ったから、これから仕事をしてほしい」


しかし私はその2か月前から、責任とやりがいを感じる、人生の大仕事に取り掛かっていた。
時間がなく、並行して他の仕事をするのは不可能な状態だ。

今の状況を女の子に丁重に説明したが、彼女はゴリ押しで「あなたの絵でないと、この企画は流れてしまうんです!!<ウチ>が困るんです!」
仕事をしなかったら「オマエが悪い」と言わんばかりの、大変失礼な態度で、譲らない模様。

いやいや…そんなこと言ったって、私のスケジュールを事前に一切確認しないで、承諾もなしに、勝手に(しかも突然)私の絵で企画を始めるって、いったいどういう事なんでしょう?

どんな企画か知らなかったし、そもそも企画に乗る約束ごとは一切していない。
まさか…私は営業にいそしむほどの暇人で、コイツならいつでも動けるとでも思ってたんでしょうか?

いや、その可能性はある。この女の子の話しぶりは、私を微妙に「下目線」で見ている。上司(つまり、ガサツな友人の友人)から、何か吹き込まれてたんではないでしょうか?


部下の女の子にいくら話しても埒があきそうにないので、仕方なく本人に丁重なお断りのメールを入れた。

「自分の今の状況がやっと報われて、これこれこう…であるから、並行してお仕事することは出来ません。」同じクリエイターならわかってくれる、人柄が良ければ「おめでとう」とも言ってくれる内容であったと思う。


しかし……その人は、そんな丁重なメールをガ・ン・無・視したのです!!!
返信一切、無し!!

そもそも、自分から私に持ちかけた話のクセに、なんじゃそりゃ?!
最後くらい、オマエでちゃんと締めろや~~~~!!!


私を何だと思ってたんでしょうね?きっとただの暇人だと思ってたんでしょう。
ほんとガッカリです。


これを読む、営業を頑張るクリエイターの人がいたら、対応がおかしいと思う人や出来事には、臆せず決して我慢しないでください…。
悔いのないよう、相手に主張できるだけ主張して、作家のメンツを何より大事にすることをお勧めします。


ホント、これ大事。