人を紹介するも、紹介されるも大変だ

フリーランスが仕事を得るには、「人からの紹介」が大事と、世間的によく聞く。
まだそういう事に関して、イマイチ世間知らずで空気が読めなかった頃の話。

人から紹介を受けたクリエイティブ系の会社取締役の方から、「このキャラクターを、プレゼン用に簡単にアニメ化してほしい」という相談を受けた。

そのキャラは自分の作風とかなりかけ離れていて、また私はアニメーターではないので、アニメを作る知り合いのクリエイターを紹介した。

そのクリエイターの方は、(快くではなく)一呼吸おいてから承諾してくれた。その際に、「あなたの顔を汚さないようにしますんで」と一言いわれた。

その時の私の考えはこうだった。
「あなたの自由意思で、この仕事を受けるも受けないも、自分の損得考えてどうぞヨロシク」

…という、軽い感じだったのだが、人からの紹介って、そう簡単にいかないものなんだろうか?
重いものなんだろうか?
なんとなく、その時心が曇り空になった。


その数年後、「あぁ…人の紹介って、受けるもされるも大変なんだなぁ!」と、心から感じる事件にいくつか出くわした。

私は当時、クリエイターが集うコミュニティに複数参加していた。(いまはもう、そういう集まりは、自分の人生の中ですべて断捨離した…からこそ、書ける内容である。)

そのコミュニティの中では比較的古株で、周りの人が尊敬するような実績のあるクリエイターの方がいた。
その方に「ある作品の背景を描きませんか?」という依頼を受け、著名な方を紹介して頂いた。

背景画のみの仕事は断ってきたけど、誇りをもってできそうな仕事だったので、紹介を喜んで受け、その方にとても感謝していた。


ここから先の経緯は、具体的すぎる話になるので省略しますが…


私はそんな気は全くなかったのに、結果としてその方の仕事を奪う形となった。

本当は、紹介した人の顔を立てるべきだったのか?
いや、しかし私は…いま考えてもそうは思わない。

クリエイターの仕事・責任とは、作品を良くすることに何より全力を尽くすこと。締め切りを守ること。
”誰かの顔を立てる”なんて不純なモノは、二の次であるべきだと。


本題から少々逸れるかもしれませんが…。

とても難しいところは、その方がコミュニティの古株で、周りの人から一目置かれるような人だったからです。

何がムズカシイって?

その方の作品を、個人的にリスペクトしていたら、もう少し話は簡単だったかもしれません。

しかし自分には全く縁のない違う作風だったので、物理的に考えても、努力しようとしても…どうしてもリスペクトしようがないんです。

でも紹介を受けた恩義で、周りの人が尊敬するように、じゃあ私もせめて尊敬する「フリ」をするべきか?…空気感としての重圧が肩にのしかかってくるのです。

その方に理不尽なことを言われても、パワハラ的なひどいことをされても、(私のアイデアの紙に矢印を描いて、顔文字つきで「気持ち悪い」と書かれた。)「はい、はい…」と、”その方の顔を汚さないように”口答えはしないようにしてきましたが…。

非常に煮え切らない、切ない経験となってしまいました。

でも私は結果的にその方の仕事を奪う形になったので、多少嫌味を言われても仕方がない。きれい事を自分が主張するのも違うと思っています。

(ただ、全く面識の無かった他人同士だったら、そこまで踏み込んでパワハラみないなこと書かなかったと思うんですけどね。)


それとは別件。
それからしばらくして、自分と全く違う作風が必要になった仕事があり、私は知り合いのクリエイターの方に「やりませんか?」と声をかけたことがあった。

そんな悪い話ではなかったと思う。
これもまた、私は前述と同じスタンスで「自分の損得考えて、あとは自由に決断ヨロシク」というものだった。

でも紹介した後、何度もその方から細かな相談がメールで来て、仕事に集中するどころでなくなってしまった。

その方は純粋に仕事の進め方に迷ってるようで(?)紹介した責任を多少は感じたので、最初はいろいろ対応したけど…あまりに相談回数が多く、私はこんなに対応しなくてはならない内容なのか?と、疲労困ぱいで半ノイローゼ状態になってしまった。
(あまりにもつらかったので、最終的にご本人にその旨伝えましたが。)

その方にしてみれば、”私の顔を汚さないように”善意でがんばっておられたのかもしれないけど。
私にしてみれば、そんなに過剰に無理するくらいなら、最初から断ってもらって良かったのにと思うのです。


いまはもう面識なくなったけど(←なんかもう、こんなんばっかですね。)、ある年長者の方に「仕事がたくさん来て、手にあまることがあったら、新人の子に仕事を振ってあげてね」と、言われたことがある。

あぁ…心根のやさしい方なんだなと。

紹介した後の不幸を考えると、私はとてもじゃないけど、もう二度と出来ない…。

あれから極力、人からの紹介も受けないようになった。
それによって仕事を逃したって、もういいです…。人の輪が広がらなくて結構。私は我が道を行きます。

まどろっこしい紹介を経由して、不幸な人の数(自分を含め)が増えるのが嫌だから。

本当に一緒に仕事したい人がいたら、人の紹介なんかよりも、直接アタックした方がずっといい。
無視されたって、断られたって、別にいいじゃないか。あたって砕けて、その方が気持ちがいい…。