私の仕事は学歴不問

昔ネットで、漫画家志望の高校生に、美大への進学を薦める美大卒の人を見かけた。(しかもすごい、センパイ風ふかせてた。)
美大を卒業した人は、芸術を志す人がいたら速攻…!美大を薦めたがるのだろうか?それはとても危険に感じた。

私がこれまで色々な人と仕事をして感じたことは、「美大卒=絵がうまい」という公式(笑)が全く成り立たないことです。
まず人物の骨格が致命的に描けない人が圧倒的に多い。
いや、彼らお得意の?石膏の顔を目の前に「ドン!」と置けば、陰影つけてきっちり描くかもしれない。

しかし、仕事で求められるのはそういう絵ではないのだ。
限られた時間内で、与えられたシチュエーションの人物に演技をつけた絵が必要なんです。

美大卒の人にそれを「描いて!」と指示すると、やたら時間が掛かったあげく、デッサンが歪んだ、人の表情もポーズもイマイチの人物画がかえってくる可能性が高い。
(私の個人的な経験や印象が、かなり含まれています。ごめんなさい…。上手な人は上手だと思うよ。)


アニメーション学院卒で優秀な人の絵のほうが、数百倍上手だと思う。

人物の演技や表情がキラキラ輝いていて、私も未だ足元に追いつけない。学ぶことがものすごく多い。(私の最近の練習法は、絵の綺麗なアニメを一時停止して、模写することなのです。)


もしその高校生が、大手広告代理店でデザイナーになりたいとか、そういう夢であれば、そりゃ有名な美大や芸大を選んだ方が、圧倒的に有利かもしれませんが…。


でも美大(芸大も含む)に在籍中、または卒業後、下手すれば一生苦しめる、やっかいなモノに目を背けてはいけません。

それは、「私は周りの人(お前ら)とは違う!人一倍イケてる!」という優越感、はいて捨てるようなプライドが全身にこびり付くということです。

そのプライドに自ら酔っていられる時期はまだ幸せだけど、じゃあどうやって飯食うの?問題が浮上する年頃になると、世間の中での非力さ、自分の不甲斐なさにプライドがズタズタに引き裂かれてしまう…。

美大・芸大という肩書きを背負い、芸術の職業を志したけど就けなかった。
だけど一般職は、自分の美意識とかけ離れて「低レベルでダサい」「下品でくだらない」から、やる気がどうしても持てない。

そうなったときの責任は、一体誰が持てるでしょうか?


一年ごとに何百人も美大・芸大卒の人が、(薄汚れた?)世間に投げ出されるけど、すべての人が美しい芸術の職業につくことは、やはり出来ない…。
芸術を大学でアカデミックに!インテリに!学んだことが、これから先の人生、逆に自分の行動範囲を狭める足かせになる可能性も高いのです。


なので、もし芸術の「技術」を一番に身につけたいのであれば、私は専門学校をお薦めします。
実際にいろんな学校を見学して、雰囲気があうところ、楽しそう、友だちが作りやすそう…とか、まずは気軽な理由で選んでみてはどうでしょう?
本当の勉強が始まるのは、専門校を卒業したあと、ですからね…!

大手広告代理店とか、良いところに勤めたいのであれば、美大・芸大へ行けばいいさ…。(私は個人的にあまり好かんが…。)


中途半端に良い大学に行ってしまうと、余計なプライドが付き、かえって身動きが取れなくなるというのは、美大・芸大に限った話ではないですよね。

私は東京の理系大学を卒業しましたが、こんなことを語る私ですら、20代後半まで学歴の優越感やプライドは引きずりましたから…。


学歴の肩書きって危険です…。


余談ですが…

私の大学時代の友人は、 「みんなに”分かりやすい”評価が欲しい」というのが主な理由で、私立大学から地元の有名国立大学に編入、大学院まで進みました。

その人は「自分に自信がないから、学歴で自信をつけたい」と言っていた。…つまり、みんなに認められ、褒められたいんですね。


人の評価を考え始めたら、キリがありませんが…。