プロのやり方に口出しするべからず

「餅は餅屋」ということわざがあるが、その道のプロが各々責任をもって仕事をすれば良いのであって、中途半端な素人は余計な口出しをしてはならないと思う。

でも何かと重箱の隅をつつきたがる性分の人って、ときどきいる。
自分は手を一切動かさないのに、人のやったことは色々言いたがる。(何か一言ケチつけないと気が済まない?男性に多い気がする。)
運悪く、そんな人が仕事の担当になったときは、なかなかツラい…。まさに、そんなことがあった。


ある告知ビデオを作ることになった。「地球環境を考えましょう」とか、そういうやつ。

仕事の担当者(自分と同い年くらいの男性)との最初のやりとりはこうだった。
「私は以前アニメ会社に勤めていたので、色々お役に立てると思います。」

私は当時おとなしい娘だったので、「心強いです。ご一緒に頑張りましょう」なんぞ、無難な返事を返したが、内心嫌な予感で背筋がゾッした。


なんでかって…?
これから存分に、余計なお世話を押し付けられるんじゃないだろうかという恐怖です。


中途半端に知識を得ている同業者との仕事が、最もやりづらい。(いわば、素人と玄人のあいだの人)
知ったかぶりな専門知識で作品をコキおろしたり、仕事のやり方にケチつける日が訪れるんじゃないかと、警戒スイッチは早々にオンになった。


最初の段階では特にこれといった問題なく、社会人同士のやりとりという感じで(笑)普通に打ち合わせや、メールのやりとりをしていた。

しかしビデオが完成品に近く、ある程度見れるものになった時点で、ずっと被っていた猫の皮を、彼は「やっとだ!」と言わんばかりに突然剥いだのだ!!!


「まだ調整する個所は多々あります」と添えて、進捗を送ったのだけど、その途中段階のビデオについて、いきなり延々と「ここを直した方が良い」と、長文で送りつけてきたのです。
彼にしてみれば、「やっと自分が”口出し”できるところまで完成したか」というところでしょうか。


ちなみに私は、作家としてはかなり?柔軟なほうだと思っている。
基本的に、よほど理不尽な内容でない限り、発注者の意見や要望は耳を傾けます。

たとえば、「この女の子をロングヘアにしてほしい」とか、「昔京都に住んでたので、京都が舞台がいい」とか。
それから異業種の人の意見って、客観的で的を得ていることが多いので、聞いて納得できる意見であれば、サクッと修正する方です。


でもこの担当者は、そうじゃなんです…。


「ここは2秒のところを3~4秒にのばして、あそこは照明をもっと当てたほうがいい、ライト強め」とか、具体的な演出の能書きが延々続く長文で、作業段階のものにケチつけてる。


まだ途中って言ってるじゃん!!!なんて強情な…!


100歩譲って、納得できる指摘であれば文句ないけど、もし彼の言う個所を全部そのまま修正したら、私の作品ではなく、「彼」の作品になるだろうという内容のものであった。

いちおう謙虚に長文を全部読んでみたけど(←誰かエライと言ってくれ。笑)、直す必要をどうしても感じることが出来なかった。


あぁ…でもこの内側から溢れてくる怒りと、プロの腕をナメられたショックは、どうしたらいいんだろうか?(コンペで私を制作者に選んだのは彼なのだが…)

やっぱり直接本人に、わだかまりを伝えるしかない。


長文に対抗して長文!!!(笑)


長文の内容を簡単に記すと、「具体的な演出は、制作者の私にすべてお任せ頂けないでしょうか?非常に仕事がやりづらいです。」というもの。

昔の話なので、その後どんな風なやりとりをしたのかよく覚えてないのですが、彼の返答はやっぱり何か煮え切らないものを感じた。こちらの迷惑や怒りが、まだ伝わってない気がした。


なので今度は、「いきなりあんな長文を送り付けられて、私はショックを受けて仕事が手につきません!」という内容のものを送った記憶がある。

これは私なりに考えて、担当者が一番困るのは納期に作品が上がってこないことなので、ちょっと大げさに…でも大きなショックを受けたことには変わりないので、全力で不快を訴えた。


最終的には口頭でやりとりをし、彼から「直接謝りたいので、最寄りまで伺います。」ということになった。私は「お気持ちだけ受け取ります」と伝え、一件落着…?!


その仕事が終わるまでは、これ以上の波風は私も立てる気は無かったので、一件落着ということにしたのです。

私の心情を訴えて、その時の彼の言い分で驚いたのが、「私は作品のディレクションとして、立ち振る舞ったまで」とのこと。「でも、出すぎました」と、反省しておられる様子だが…。


え?ビデオのディレクター(演出家)をするつもりでいたの?…と、背中がゾッとした。

おいおい、アンタ素人でしょ!!!


って、ツッコミたかったのを、これ以上話がこじれるのも避けたかったので、必死で抑えた。

アニメ会社で何をかじったか知らんが、少なくともその時の彼の現職からして、演出家でもアニメーターでもなかったハズ。


その道のプロに、口出しするべからず。プロに対する冒涜行為です…。
だからこういうワダカマリは、「謝ったから、じゃあいいですよ」って、心の底からはなかなか思えない。その人との縁は後断ち切った。


私はクラシックギターをやっていて、人よりは音楽の知識はある方だと思うけど、この先音楽を発注することがあっても、「このコードは変えた方がいい、ここはストリングスをなんちゃら…」みたいな”知ったか”は、決して言う気はないぞ…??


なんで、そういうこと言うんでしょうね?そういう人って、支配欲が強いんですかね?
とくに男性に多いのは、「俺色」に染めてやらないと気が済まないからですかね?


迷惑だ…。