自虐的になってまで営業するべきか

フリーランスになって15年弱、仕事でとても苦労したことの一つが営業活動です。
好きな作品を作るだけなら苦労はないけど、生計を立てるとなると、創作以外での苦労が多くなる。

100件の会社に売り込んだ場合、反応をもらえる可能性があるのが2~3件。そこから実際に仕事に繋がるのは1件あれば良いほう。」

これは昔読んだ、クリエイター売り込みマニュアルに書いてあったこと。

しかもその1件と、じゃあすぐに仕事が出来るかというと、そういうわけではない。
作家に合う仕事が発生しないかぎり、何年もお呼びがかからなくて当然。だから、存在を忘れられないように継続的なコンタクトを取り、仕事をやっともらえるという感じ。


昔、知り合いだった先輩クリエイターの話で、「一週間のうち創作活動は3日間、他4日は営業活動」なんて人もいるそうだ。
その人曰く、クリエイターもお笑い芸人等と一緒で、営業を頑張り、可愛がってもらえて初めて仕事が来る、だから営業は必須であるとか、なんとか…。


私もけっこう頑張ってきた。


東京のビジネス見本市に何度も出展した。
以前仕事をもらった会社や、連絡先を調べた面識のないデザイン事務所等、50件以上日程のお知らせメールを送った。

会場で名刺交換した人に対しては、100件近くひらすらメールで来場お礼の挨拶をした。(BCCメール一斉送信ではなく、一人ずつ内容を変えて。)

また逆に見本市に客として出かけ、出展する企業と名刺交換をした。
(これも何度も通ったけど、”フリーランスの個人”という段階で、結局全く相手にされなかった…。ちなみに実績をかなり固めた後の話なんですが。汗)


それから一度仕事をした人へは、活動進捗やお知らせがあれば、こちらから積極的に連絡を取る。
自分のやりたいことや、創作活動の夢を手紙に書いて送ったり。(無視されると大変凹む。)
メルマガを頑張って作って、定期的に送ったり。(どーせ受信拒否されるに決まってる!)
仕事のやりとりは丁寧に、もらったメールは早く返す、挨拶きっちり、言葉遣い丁寧に。(また仕事をもらえるように。)

でも悲しいほど結果が出なかった。
こういう営業活動の成果で、いまもお付き合いのある会社なんて、一件もアリマセ~ン!!よ!(もはや笑う他ない。)


私は作家性の強い仕事なので、しょうがないというのもある。
決められた既存のゲームキャラ等の作画作業なら、安定した発注に繋がることもあるかもしれませんが…。(私の場合、作風に見合った企画が終われば、関係性も終了してしまう。)

名刺交換等で一度は仕事をもらうことがあっても、リピーターとしてのつながりは、何年も頑張ってきたけど、とうとう営業で開拓することが出来なかった。


「営業をして相手に無視されても、よほど迷惑がられない限りは、自分から積極的に売り込みを継続するべき。」

これは、ビジネス見本市のセミナー(総務省主催の怪しくないやつ)で、売り込み方法についてのお話。


あ~あ…でもさ……
一人の「個」の人間として、どこまでこういう事を自虐的にやるべき?って考えてしまうんです。


やはり人間である以上、無視されるのは辛い。痛い。傷つくし凹む。
しまいには、無視した相手を激しく憎んで、こちらから関係を絶ってしまう。


ちなみに極論かもしれなませんが、こんなことを言う会社経営者がおりました。

「フリーランスの仕事の数=友人の数!」


これは…こればかりは否定できなかった…。


そう、私がいくら正攻法で営業を頑張っても、仕事を得られなかった一番の原因はこれかもしれない。
新規の人がやってきて挨拶したとしても、いつも世話になってる常連に優先して仕事を振るのが人情でしょう。

学校生活は友人がいるか否かによって、有利になるかどうか振り分けられがちですが(班のグループ分け等)、まさか社会人になっても、そんなクソみたいな掟によって完敗するとは…!!

どんな場所でも、うまく折り合いをつけて人付き合いをこなす人が得をするのか…。


それを言われた時は、悔しかったなぁ…。
でも無理して友人になれそうにないタイプの人と飲みに行っても、それこそ馬鹿らしい。(そもそも互いにとって、時間の無駄。)

一人で作品をつくる時間が楽しくて、作家になる人がほとんどだと思うのですが、友達の数で仕事が振り分けられがちであるのは、大変理不尽な話だ、全く…。芸能界とさほど変わりはないのか?


でもデジタル時代の昨今は、また違う営業が猛威を振るってるみたいで、最近のクリエイターが仕事を得るには、今まで言ってきた売り込み方ではなく、「自分のオリジナル作品の再生回数」だそうです。(有名クリエイターのラジオでの話。)

そんなアブク銭のような営業方法、それこそ私は全く興味ありませんが…。


何にせよ、自分の性格に合わない営業活動は、人間である以上続けるべきではないと思います。(新人の人は、最初の数年間は最低限がんばった方がいいかもしれませんが…。)

だから、私は半年前まで細々続けていた営業活動を、一切やめました。


深呼吸をして近辺を見回すと、片手で数える程度ですが…自虐的な営業とは違う形で繋がってきた関係が光っていた。

駆け出しの新人の頃(20代半ばで芽が出てなかった頃)から、自分を一人の作家として必要としてくれた出版社。尊敬する大先輩との映画のつながり。


あぁ…私はその極小のつながりで、たとえ仕事が大幅に減ったとしても、人間らしい心で立っていられそうだ。