「あなたの作品はアニメではありません!」とアニメ作家にからまれる

題名だけ書いて、しばらくそのままだったテーマを書こうと思います。

ハイ、題名のとおり絡まれたわけです。(笑)で、私の結論を一言でいうと「はぁ、おっしゃる通りで。」なんですけど…。

今から7年くらい前、仕事をもらうため名刺交換会やビジネス勉強会等に、必死に参加していました。(ちなみに、今は絶対にそんな場に行こうと思いませんが…。)
業界関係者とつながりを持たないということは、フリーランスとしての自殺行為に等しい(と当時思っていた)ので、嫌でも感情移入できなくても、心にムチ打って参加してたわけです。

ちょっと話が逸れるけど、私は同業者のつながりが、じつは昔から苦手だった。

私はアニメ作家ではないのですが、ビジネス感覚や作品の完成スピードが、個人のアニメ作家と一番近いところにいるので、私もそのくくりではあるかと思っています。
(イラストレーターの人は、たいがいビジネス色薄いので(イラストで食うことを諦めている?)、話してもあまり共感出来ない。)

「映像を作ります」という自己紹介で、実写作品と区別をつけるために「アニメ」という言葉を使うことはありますが、アニメスタジオで作るような滑らかなアニメを作っているとは一切思ってませんので、あしからず。

話を本題に戻して。

業界は狭いもので、そういう場所に行くと、当時参加していたクリエイターのコミュニティで知り合いの同業者がいたりするわけです。

で、会の終わりのフリートークの時間に、その知り合いに「あなたの作る作品はアニメではありません!」といきなり絡まれたんです。
私がアニメの何たるかも一切知らない赤子であるかのように、「アニメは一コマずつ命を吹き込んで動かすことを指すのです」と、アニメの定義をくどくど語られたワケです。(正直ウザい!笑)

「げげっ!そんなの言われなくても知ってるよ!」と言い返せばよかったのか、何なのか…。

けっこう単刀直入に絡まれたので、今なら言われたのと同じ量は最低限言い返してやるのですが(笑)、当時はおとなしい娘だったので、言われっぱなしで会が終了したように記憶している。

(でもあくまでビジネス交流の場であり、同業者がケンカする場ではないので、結果的に私は大人の対応をしたのか、何なのか…。ちょっと悔しいけど…。)

思い返すとその日、私は自己紹介の際に「映画監督の方と、アニメーションを共同演出することになりました!」と、けっこうな満面の笑み(ドヤ顔)で語っていた。
それが、そのアニメ作家の人にとっては気にくわなかったのか、嫉妬の対象になったのか…。
(アニメと呼べない邪道な作品を作るヤツが、本家アニメ作家の俺がしたことない仕事をするなんて…という感じ?)
その他何かしらの理由で私のことが気にくわず、その人は一言モノ申したかったのだ。

ここからが私の弁明なんですが…
一コマずつ滑らかに動くアニメ以外作っちゃいけない決まりなんて、一切ないですよね。定義や型に無理やりハメる必要はない、作品の形態は自由であっていいと思うんです。

じつはイラストを用いて映像を作り始めて4,5年くらいは、一コマずつ滑らかに動くアニメを作れる人が、心底羨ましかった。アニメ系のコンクールに作品を応募して、入選したことは何度かあったけど、たいてい「動いてませんね」という審査員の言葉で、せいぜい入選止まりだった。

昔、既存の絵を映像でみせるPVを仕事で作ったりしたんですが、「画面の構成と色彩は素晴らしいけど、動きは他の人がつけた方がいいですね」と、やんわり言われた。(苦笑)

自分のHPから「絵は素晴らしいけど動きはダメですね、あなたの絵を動かしてみたい」というメールが届いたり、世間からかなり言われ放題だったのです。

でもある時、一切動かないPC用ノベルゲームを作ってコンテストに応募したら、デジタルコンテンツ部門で(入選より上の→)優秀賞を頂きました。
その頃の作品形態が、その数年後「ちまみれマイらぶ」というコミックアニメーションに発展しました。
そしてようやく「あぁ、無理やり動かす必要なんて、一切ないんだな」と思うようになり、不思議と「動いてないね!」と一切ツッコまれなくなりました。

まぁ、アニメスタジオのような滑らかな動きのある作品は、アニメを学んでいない自分には技術的に無理…っていうのもあるんだけど、個人でアニメを作るって、ビジネス的にも限界があるんじゃないかと思うんです。

イラストや漫画を描くのと違って、アニメは作業量がハンパない。
滑らかに動く正統派のアニメを仕事として個人で作るとしたら、アシスタントを雇うことが必要。…つまり経費が掛かる!
しかもクライアントは、個人作家がつくる映像になかなか大きなお金を出してくれない。手間ばかり掛かって、イラストや漫画描くより製作費が安い場合も多い。

(補足:実写と違い「カメラやスタジオ・俳優・スタッフ等の経費が掛からないから…」と、実写作品より安い値段で提示されることすらある!アニメにかかる膨大な時間という経費を、なかなか異業種の人は理解してくれない。)

思うんですけど、アニメ作家に類似して「刺繍作家」「編み物作家」等の人は、一つの作品を作るのに膨大な時間が掛かるじゃない?たった一人で作品を納品し続けて月々の生活を…なんて、やれるのだろうかと思ってしまう。
教室を開いたり、作品以外の収入を増やさないと、かなり厳しいんじゃないの?
一つの作品が100万、200万で売れればそりゃハッピーだけど、日本で作品に大金出す人、ほぼいないよ~!

そういうことを考えると、本当に優秀なアニメ作家の人は、個人でアニメをやるより、若いうちに大手アニメスタジオに入ったほうがいいんじゃないかと。その方が規模も大きいから、世間や世界を作品で変えられる(かもしれない)。
個人でアニメ、はあまりに限界がある…。(「第二の新海誠になる!」なんて宝クジみたいな寝言はやめましょう。)

そんなわけで、現在はすっかり開き直って、「王道のアニメ形態じゃないですけど、それが何か?」と言えるようになった。

自信がついたのは、映画作品のなかで、自分の作風を発揮させてもらえるようになったからだと思う。私の作品は、アニメでも実写でも、(一時期考案された→)「画ニメ」(笑)でもない。
映画の世界観に一番あった形態のものを、文字デザイン含めて行う。
私は改めて、デザインとイラストの人なんだと思う。その昔、押井守監督に「デザイナー」と呼んで頂いたので、なおさら私の役割はそうなんだと思います。